チベット記8

終にダウン。
今日からのシガチェ行き、期待で興奮し過ぎたのか、
或いは、連日の白酒のせいか、
昨夜、息苦しくなり、そのうちに、心臓がドッキンドキンと高鳴り始めた。
横になると動悸が激しくなって横になれない。
結局、一睡も出来ない。

カードの保険内容を見ると、
24時間、医者の手配等をしてくれると書いてある。
真夜中、カウンターまでやっと降りて、
電話をしようとするが、国際電話は出来ない、とのこと。
エレベータは止まっている。
やっと、四階まで辿り着く、
動悸が激しく、暫く廊下でうずこまる。
救急車を呼ぼうかと思ったが、朝まで我慢する。

朝、建飛達が出掛けの忙しい時、
保険会社への電話、昆明に戻る予定切り上げのチケット購入、
の面倒を見て貰う。

残念ながら、シガチェ行きはキャンセルだ。
皆を送って、終日、ベッドに座り込む。
一日ウトウトしながらゆっくりして、
ビールを飲むと元気が出て来た。
滞在予定切り上げを早まった感じだ。

散歩に出る。



二人の路上芸人、
一人は妙齢の女性、もう一人はオジサンだ。
女性の方は二重三重の人だかりが出来るが、



赤い帽子のオジサンの方は、踊れども踊れども客が寄り付かない。

  

とうとうオジサンは座り込んだ。



この女の子は、私がラサ滞在中、このような姿で終日路上に座っていた。
「お金が足りなくて退学させられた、援助してください」
と書いたビラを広げ、退学証明書も並んでいる。
たまにお金を渡す人が見られた。

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裏道を通って何時ものインターネットカフェ、
何時もの女の子が居なくて、
店の若主人と恋人?らしいカップル、

 

底抜けに明るい。

ジョカン広場の夜は早い。
ずらりと並んだ骨董露天は軒並み店を閉じている。

 

広場の入れ口の焼き鳥屋だけが賑やかだ。


20041031
昨日、保険会社と連絡が取れたが、
いろんな手配が出来るのは二日後とのことで当てにしてなかった。
ところが、今日になって連絡があった。
「タクシーの手配、病院の手配も済みました、同時通訳も可能です」
とのことで、後学のために病院へ行ってみた。

受付でウロウロしていると、
事務長風の男が英語で話し掛けてきた、話しが通じているようだ。
30代くらの女医の診察を受ける。
綺麗な顔してるのに高飛車で威張り腐っている。
折角の美形なのに、勿体無い。
せいぜい、30分か一時間を見込んだのに、
ベッドに寝かされた。

笑顔一杯な可愛い看護婦さんが愛想良く血圧を測る。
今度は酸素マスクをあてがわれた。
高山病と診察されたようだ、高山病には自信が有ったのだが。
最初に血圧を測る。

何かの薬を持って来て、
懸命に何やら説明しているが理解できない。
可愛い口を空けて舌を上げ舌の下を指差す。
薬嫌いで薬の知識が全く無い。
「飲んではいけない、舌の下に含むのです」
が、やっと理解できた。
看護婦さんも、私が理解できたのを知ってニコッ笑顔を零す。
「いいですね、飲んではいけませんよ」
と念を押して、急ぎ足で戻って行った。
入れ替わり入れ替わり入ってくる患者の間をこま鼠の様に歩き回る。



 

のんびりと点滴する人達、
読み耽っている本から目を上げるとその人達が入れ替わっている。
時には急患が飛び込んできて応急手当のようなものをやっている。
両脇を支えられやっと入ってくる人もいる。
心配そうに家族が付き添う。
そうかと思うと、私が入って帰る時もまだ点滴をやってる人も居る。
様々だ。
概して看護婦さんの患者の扱いは優しい、心が篭っている。
笑顔を絶やさないのが最も好い。

しかし、10時に来てもう1時を過ぎた。
念の為に単行本を一冊持って来ていて助かった。
痺れを切らして尋ねてみた。
「何時になったら帰っていいんですか?」
「夕方6時半です」
かくして、
一日中酸素マスクを付けさせられたのだ。
しかし、いい休養になった。
その間に、
「一寸、食事」
とかいって、チケットの三日延長もチャッカリ済ませた。
チベットの病院の実態もつぶさに観察できたし。

やっぱり、食い物が困る。
昆明には日本食堂や、鶏肉の鍋があるけど、
こちらは豚肉、羊肉、ヤク肉、肉ばかりだ。
野菜や茸など炒め物は油でベトベト光っている。
お昼や夕飯をこちらの人間に付き合うと、必ず調子が悪い。
卵を買い込み、毎朝、目玉焼きを作る。
早く、納豆、刺身が食いたい。


チベット記1(香格里拉)、チベット記2(梅里雪山)、
チベット記3(梅里雪山ー香格里拉)、チベット記4(ラサ)、
チベット記5(ポタラ宮)、チベット記6(ジョカン、セラ寺)、
チベット記7(ノルブリンカ離宮、西蔵博物館)、チベット記8(ラサの街角、ラサの病院)、
チベット記9(ラサ裏通り、ソンキョ・ルカン公園、パラルブ寺、マニ塚)、
チベット記10.完(拉沙苞姑尼姑寺、バスツアー、ラサのカフェ、ラサのお土産、ラサ河)





熟年の一人旅(中国編TOP)


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