チベット記1

20041022
朝5時、昆明はまだ夜明け前だ。
直ぐタクシーを拾う。
24元、50元出すとお釣りがないという。
悔しいから小銭でピッタリ上げる。

緩慢なカウンターの処理に苛々して、10分前に搭乗。
昆明から香格里拉、一時間弱だ。
香格里拉(シャンガリラ)、名前が良い。
理想郷、桃源郷、そんなイメージがある。
最近、中甸から名前を変えたばかりだ。
標高3288m。





広々とした空港、自分の影の長さに驚く。
空港のロビー、何もない。
暖かい朝食を期待していたがコーヒーすらも無い。

 

待ち客は二人、
私と同じようにウロウロしているもう一人の客は日本人らしい。
話し掛けてみる。
会社を一時退職して旅に出てきたそうだ。
まだ、50を出たばかりに見える。
上海から汽車で昆明、大理、麗江から香格里拉、
更にラサからネパールに抜け、インドも狙っているとか。
大きなリックを軽々と背負う、山男に違いない。

一組の白人のツアー客、いかにもチベット人らしい客、
彼等のあとから最後にチェックイン。
ところが、係員が首を横に振る。
咄嗟に脳裏を過ぎったのが外国人証明書。
あれ程確認したのに・・・
外国人証明書が無いとチェックイン出来ないのだ。
例の山男さんも同じ問題で引っ掛かった。
彼も「あれ程、念を押したのに・・・」と天を仰ぐ。
係員が、私と山男さんがチケットを購入した旅行会社に電話するが、
話が行き違っているようだ。
その内に地元の旅行社員が来て、それぞれ長電話したが、
埒があかない、諦めるしかないようだ。
次のラサ便は三日後、かくして、三日間香格里拉に拘留?の身となる。

地元の旅行社員、Aさんが、
Aさんの事務所も有って便利だと言う2星のホテルを紹介してくれ、
値段交渉もしてくれる、70元、一人35元だ。

 

相客は、勿論、山男さん。
気さくで感じが良い中年だ。
彼は言い出す「この三日間、何処かへ行きたい」。
咄嗟に梅里雪山を思い出す。
かねてから、見たい見たい念願していた梅里雪山が目の前にある。
と言っても、バスで6時間の道行、どうしたものか?
兎も角、バス駅まで行って切符だけは確保する。
明朝の体調で決めよう!



香格里拉の街の様相も変わりつつある。
誇りっぽさは相変わらずだ。
3年前に来た時にはまだ飛行場が無かった。
真新しいバス駅の前にも広い道路が建設中だ。

 

夜、二人で付近の火鍋を突付く。
余りに巨大な鍋なので半分にしてもらう。
茸鍋、これが抜群だった。
いろんな種類の茸を一つ一つ見せてくれる。





お店の女子達の人懐こくて笑顔も良い。
彼女達が寄って来て、何か口ずさんで居る。





しっかり録音しようと録音機のスイッチを入れ、
誘い水に佐渡おけさを出しちゃった。
ところが彼女達は歌ってくれない。
この辺の微妙なやり取りにどうも苦手だ。

山男さん、Hさんと話が弾む。
大きな病院の事務長さん?をやっていたが、
いろいろ嫌気が差して退職して旅に出たのだそうだ。
彼が退職したと聞いて、是非うちへとの勧誘が殺到しているらしい。
我々平凡なサラリーマンと違って、特技を持って居られる。
人をそらさない如何にも敏腕の感じだ。

宿に戻っても、いろいろ話が弾む。
彼は団魂の世代、スターオーズが大好きで、
何かスターオーズに登場するのだらうか、
人形を持ち歩き、その人形を前景に写真を撮る。
面白い趣味だ。
彼は絵もやる。
コンパクトな絵道具を持ち歩き、ササと描くのだそうだ。
何枚か見せていただいたが素人はだしの素晴らしい腕前だ。
お酒の飲み手と知ってから気が楽になった。

つづく


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