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第十番 切幡寺 |
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案内書に333段の階段を上る、とある。
今日、十番目のお寺、そろそろ足腰がブツブツ言い出している。
奥を覗くと階段に平行して車道が見える、相当な急傾斜だ。
と、我々の車の脇を一台の軽自動車が通り過ぎ階段脇の道を登り出した。
それっ、とばかりに後に付く。
切幡寺の名にはいわれがある。
一人の娘が一心に幡を織っていた。
其処を通りかかった弘法大師がほころびを繕う布を求めると、
娘は惜し気も無く布を裂いて大師に差し出した。
娘は一つの願いを持っていた。
彼女の父親は無罪の罪で島流しにされ、
彼女を身ごもっていた母親は観音様をお祀りしたいという願いを果たさぬ内に、
娘を産むと間も無く亡くなってしまった。
娘は母に代わって願いを叶えようとしていたのだ。
それを聞いた大師はお礼に千手観音を刻み娘に与え、
灌頂を授けると、娘は観音菩薩に変身した。
その即身成仏の観音がここお寺の秘仏になってるのだそうだ。
桃山時代の特徴の有る大塔は国の重要文化財、
大塔からの徳島平野は平和そのもの、
長閑な田園風景が広がる。
さあ、第一日の日程が終わった。
宿に入ると、まだ三時過ぎたばかり、
連れ達の顔色を窺いながらビールにかぶりつく。
酒豪と名高いリーダー格のAさんも控えている様だ。
一飲み毎に、折角綺麗になり掛けていた身も心も元に戻って行く。
八時には皆眠り付いた。
翌朝、5時に目が覚める。
切幡寺の山門まで行ってみる。
既にお参りの人の姿が有る。
続く
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