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書の歴史・日本編10/江戸時代(2)

俵屋宗達・書状
貴礼井醍醐ノむしたけ
俵屋宗達(生没年不詳)
琳派の創始者と言われ、光悦と姻戚関係にあるとされるが明らかではない。
筆致に光悦の影響がうかがえる。

貴礼井醍醐ノむしたけ



春日局・消息
十一月八日の文どう十二日ニととき

春日局(1579-1943)
家光を支えた気丈な忠義心の強い女性として知られる。
女性としては威厳、権威を感じる書だ。
幕政をも動かした権勢を保持した頃の書であろう。



天海・日光山御本尊目録
東照大権現二十五回忌

天海(1536-1643)
家康の厚い信頼を得、家康没後も秀忠、家光の内外の政務を補佐をした。



吉野大夫・消息
名香約申し候ことく

吉野大夫(1606-1943)
中国にまでも其の妖艶美を知らしめるなど才色兼備の遊女。
数多くの逸話を残すが、
後年落籍して貞淑な夫人として過ごした夫婦愛の深さは語り継がれている。
高い格式と深い教養の裏打ちされた文字は優雅璃麗である。



沢庵・一行書
壷中日月長

沢庵(1573-1645)
紫衣事件で出羽に流されるが、天海等の哀訴で帰還する。
家光の篤い庇護を受け品川東海寺を建立する。



細川忠興・短冊
小姓どものうちより

細川忠興(1563-1645)
信長、秀吉、家康と歴任し大いに武名を馳せる。
一方、父幽斎譲りの学芸面での才を発揮した。
利休三哲に挙げられる茶人でもある。
光秀の娘ガラシャを妻にしながらよく家名を守るなど、
思慮の深い人物であったことを物語る。



宮本武蔵・書状
被思召付尊礼忝次第ニ(奉存候)

宮本武蔵(1584-1645)
剣豪として余りにも有名である。
若くして諸国を遍歴し兵法の道を極めた。
五輪書を残す。
晩年は、熊本細川氏の客分として仕える。
水墨画、特に禽鳥図を得意とした。



柳生宗矩・書状
御煩気いかが無心元存候

柳生宗矩(1571-1646)
新陰流を以って秀忠、家光の指南役として信任を受ける。
激怒した坂崎出羽守を冷静沈着に説得し自刃せしめたエピソードが残っている。



小堀遠州・書状
夜前とつかに一泊

小堀遠州(1579-1647)
茶道と作庭に長じる。
遠江守の名の大名でもある。
名古屋城本丸、大阪城本丸仮御殿など多数の作事奉行を務めた。
古田織部、千利休と並び三大茶人とも呼ばれる。
書は、一見してそれと判る熱烈な定家の信奉者である。



中江藤樹・書状
広益会玉篇十冊井ニ

中江藤樹(1608-1648)
日本陽明学の祖。
先年、西近江で信号待ちをしている時に、ふと、見やると、
中江藤樹生家とあった。
学徳を慕う人々から近江聖人と呼ばれた。



徳川家光・書状
大御所様(弥御快気目出度奉)

徳川家光(1604-1651)
職制、兵制、参勤交代などの制度を整備し、
徳川幕府の権勢を確たるものにした。
遠州に茶を探幽に絵を学ぶなど風流にも通じた。
個性的な人間味溢れる書風である。



松永貞徳・書状
奇思食御懇書

松永貞徳(1571-1653)
幼年より和歌、連歌を学ぶ。
貞門派俳諧の創始者といわれ、当時の庶民文化の指導者であった。
能書家としても知られ、爽やかな書を残している。



由比正雪・書状
新書興アル事ニ候へ共今程ハ

由比正雪(?-1651)
慶安の乱の首謀者。
駿河由比町に正雪の生家と言われる紺屋が残っている。
私淑した大原雪斎から雪を、また、楠正成から正を取り、正雪と称した。
楠木流の軍学者として一時は三千人の門下を集めたと言う。
丸橋忠弥等と倒幕を企てたが事前に漏れ自刃した。
覇気に富んだ闊達な書風はあたかも正雪の生き様を示す如くである。



林羅山・詩懐紙
進士由来選挙流

林羅山(1548-1657)
幼少より秀才の誉れ高く、18歳にして朱子学に奉じ、
家康、秀忠、家光、家綱と四代の将軍に仕え、朱子学を普及せしめた。
方広寺鐘銘事件で「国家安泰」を家康の名を分かつ等と一連の豊臣非難を教示したのは羅山とされている。
彼の学問所は後の昌平黌の起源になった。



松平信綱・書状
長崎へくわしはち井引物はち

松平信綱(1596-1663)
幼少より才知に富み、家光の幕閣にあり知恵伊豆と称された。
生涯を幕政に奉じた。



千姫・消息
あやめのめでたさ

千姫(1597-1666)
秀忠の長女、母はお市の方と浅井長政の子、於江与の方。
7歳で従兄弟の秀頼の正妻となる。
大阪城落城の際、坂崎出羽守に救出されるが、本多忠刻と再婚。
この間の出来事は歪曲され後生に伝えられる。
忠刻没後、本多家は断絶され、千姫は30歳の若さで江戸に戻り、
出家し天樹院と号し、千姫ご乱行の俗説を産む。
70歳にて波乱万丈の生涯を終える。
瑞々しく華麗な文である。
筆致からは内気な貞淑な平凡な女性像が浮かび上がるが・・・





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引用文献
講談社刊:古筆から現代書道まで墨美の鑑賞
講談社:日本の書
東京書道研究院刊:書の歴史
講談社:日本書跡全集
大修館書店刊:漢字の歴史
平凡社刊:字統
平凡社刊:名筆百選
創元社:書道入門
平凡社:書道全集
講談社:現代書道全集
二玄社:書の宇宙
白州正子:西行
角田文衛:待賢門院璋子の生涯




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