青荷温泉紀行(三)

朝餉、鮎の甘露煮がおいしい。
鍋の中は鴨の肉。



味噌汁も本当の田舎の味だ、珍しくお変わりしたくなる。

古き良き時代の写真が飾ってあった。





昔は大らかだった、それにしても逞しい。

もう一度、彼方此方のランプを見て廻る。











そして最後の一浴び。
健六の湯、寒くて寒くて露天風呂には長く浸かって居られない。
もっと長く浸かれば芯から温まるのだろうが、
江戸生まれの生来のせっかちで長湯ができない。










あどけない童顔の青年が一人ぽつんと入っている。
昨日は金木のストーブ列車に乗ってきたそうだ。
「私以外は団体客で、小さくなっていました」

この青年は長湯なのだ。
モタモタしているうちに湯に浸かっている写真を撮るチャンスを逃がした。
悪友達に青荷温泉に浸かる勇姿?を自慢したかったのに・・・・・







もう一度宿の中を散策する。












そろそろ帰り支度だ。



雪道を帰る、今日の運ちゃんは若い。
結構荒っぽい運転でハラハラさせられながらバス停に辿り着く。
バス停は半分以上雪に埋もれている。



此処から青荷温泉へは一般車両通行止めだ。
車で来た人は此処へ車を置いてシャトルバスで行くことになっている。
一晩でこの始末だ。





雪が積もっただけでなく凍り付いているようだ。
車が動けるようになるまで2,30分は掛かった。

路線バスで黒石駅に向かう。
途中、三三五五と土地の小母さん達が乗り込んでくる。
青森弁の会話が途切れない、話の内容はさっぱり判らない。
そのうちに、隣の小母さんが話し掛けて来た。

「青荷温泉へ行って来なさったか、
寒かっただんべぇ、
あそこは湯の温度が低いので土地の人は冬はあんましぃ行かねぇのよ」
良く理解出来なかったけど、あらまし、こんな話の様だった。
後で後悔した。
折角土地の小母ちゃんに話し掛けられたのに、
もっと土地のいろんな話が聞けば良かった。

想い出した。
ローマで話し掛けられて意気投合した韓国系のアメリカ女性、
私が日本人を見ると避けるのを見て怪訝にしていたのを想い出す。
「なんで話し掛けないの?」
自分から話し掛けることが無いのだ。
次の旅の時には話し掛けてみよう、と思うのだけど。



黒石で、重要伝統的建造物群保存地区の「こみせ通り」に向かって歩き掛けたのだが、
余りの雪の深さに諦めた。
弘前へ向かう。



春先の「カタクリ」の季節から本格的に賑やうらしい。
その頃にもう一度来たいものだ。
青荷温泉!

青荷温泉紀行 完


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