長門記6 大寧寺 俵山温泉 角島 土井ヶ浜

長門を走っていて目に付くのは温泉の多さだ。
湯本温泉、黄波戸温泉、俵山温泉、油谷温泉、一の俣温泉、川棚温泉...
数えだしらきりがない。
 
 湯本温泉のはずれ、彩とりどり紅葉の森にひっそりと包まれた大寺、
これが大内義隆最後の場として名高い大寧寺だ。
配下の陶晴賢に山口を追われ九州に逃れる途中、
この寺に追いこまれ一族郎党と共に自刃して果てた。 



腹を掻き割り自分の臓物を追手に投げ付けたとか...
一時は天下を覗うほどの大内氏、さぞかし無念で有ったろう。









境内に佇む石仏の赤い帽子が紅葉と相俟って妙に物悲しい。 
ここも紅葉の名所だ。


車が一台、それもやっと通れるような山道をくねくね走って
辿り着いたのはNさんのお勧めの俵山温泉。
いかにも昔からの湯治場を思わせる古い温泉、
タオルを肩に掛けた浴衣姿が三々五々下駄を鳴らしてのんびりと歩く。





向こうからやって来る人と肩が触れ合わんばかりの細い
一本の道を挟んで小さな宿屋が立ち並ぶ。
一軒一軒の宿屋には内湯が無く、湯治客は皆、湯治場の中央にある共同温泉に通って来る。





自炊用の惣菜を売っているお婆さん、頭が地面に付きそうなくらい腰が曲がっている。
何年も何年もこうして街角に立っているのだろう。


翌朝、長門を更に西へ、本州の最西端と角島を結ぶ真新しい角島大橋、立派過ぎる。



一見して税金の無駄遣いの確たるもの、
ではあるが、島に住民にとっては長年の死活問題で有ったのであろう。
1000円位の通行料を覚悟するが料金所は無い、島の生活道路なのだ。
先端の角島灯台は素朴な観光地、駐車場は土が露出し、横倒しの茅が敷き詰められている。


右に海を見ながら長門を直角に南へ暫く行くと、弥生時代後期の人骨が300体も出土した土井ヶ浜、
此所で眼を引くのは埋もれた人骨の全てが海を向いている事だ。
日中共同の調査の結果、
ここの頭蓋骨は中国山東省の済南博物館の頭蓋骨とその特徴が一致したとの報告がある。
中国本土での戦乱の時期、戦いに敗れ死か奴隷かの選択の中を此所に逃げ延びた人々、
と言うのが調査研究の推察らしい。
発掘現場がドームに囲われ保存されている。

寄添う男女、身体中に矢が打ち込められた男、大きな貝で造られた腕輪、



この貝の腕輪と同じ形状のものが北海道の遺跡で発見されている。ロマンが走る。
日本人の起源解明の貴重な資料なのだ。
人骨、石棺、装飾品は発見されたが居住跡など生活遺跡はまだ発見されてない。

壇の浦や晋作の旧跡等を眺めたかったが、断念。

続く









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