嵯峨野ぶらぶら記3


滝口寺

竹柵で両脇を挟まれた急な坂道をものの5分も登ると滝口寺。







小鳥が出迎えだ。



細い坂道を登ると一寸した広さの庭、





庭に面して懐かしい本堂だ。
この景色は昔と何も変わっていない。

想い出すのはウン十年前の学生時代、初めて京都に来て、
「ああ、京都」
と感動したのは金閣でも銀閣でも無い。
この滝口寺だ。
確か薫風の頃だった。
滝口寺の縁側に座って新緑を眺めた時、体の中を何かが通り過ぎた。
感極まったのを覚えている。
あの時、何故にあれほど興奮したのか今では判らない。
あの時の興奮そのものが忘れられない大きな想い出なのかも知れない。
その後、京都に来る度にこの縁側に座ることにしている。



そそくさと、早速、縁側に座り込む。
何の変哲の無い庭だ。







しかし、気分が和らぐ。
かっては木々を通して嵯峨野の風景が望めた様な気がする。



そして、滝口入道、横笛さんにご挨拶。



昔、この二人の関係に深く興味を抱いていろいろ調べたものだ。
「平家物語」は、勿論、高山樗牛の「滝口入道」も読んだ。
でも、大まかな粗筋以外何も覚えていない。
それでも、二人の淡い切ない悲しい恋は語り継がれる。
座敷の右側に古い堂、平重盛を祀った「小松堂」だそうだ。



何故、こんな所に平重盛がと思ったが、
滝口入道は元々平家の公達、平家との関係が深いのだろう。











庭を一周して、もう一度本堂を眺めて急坂を下る。





新田義貞の首塚、
京の三条河原で晒された夫の首を義貞の妻・勾当内侍が密かにここ嵯峨野に埋葬し、
自らは出家して生涯この地で夫を弔ったと言う。
傍らに勾当内侍の供養塔もある。
新田一族は義理堅い一族らしい。
義貞の命日には一族の子孫たちが全国から集まって供養すると言う。


狭い道を転ばないように下りて愛宕街道に戻る。







お腹の虫が泣き出した。
この辺の相場?



やっぱり鰊蕎麦だ。





とっても気持ちが良いお店だ。
京都駅からの新幹線の時間を確かめる。
親切に手を取る様に教えてくれる若奥さんの笑顔が心地良い。







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二尊院を通り過ぎる。





嵯峨野道も静かだ。





去来のお墓。
落柿舎は改造中。



余談だが、この日まで「らくししゃ」でなく「らっけいしゃ」と読んでいた。





竹薮の道を行くと、





野々宮神社、黒木の鳥居は健在だ。







更に下ると流石に人が多くなる。







天龍寺も横目で見て、



路面電車で京都駅に向う。

滝口寺


 

安房守の旅紀行・日本編






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