鶴岡八幡・冬牡丹

冬牡丹が見たくなった。
さっと頭を巡らして、久し振りに鎌倉八幡様の牡丹園に決める。

裏周りと言うか横周りと言うか、
鎌倉駅北口から寿福寺を目指して歩き出す。
もう直ぐ寿福寺の道筋に左銭洗い弁天の表示板、
銭洗い弁天も、この3,4年行ってない。
と思っている内に銭洗い弁天へ向かって歩き出している。
途中の民家では梅が綻び始めた。



こんな距離があってこんな坂が有ったのかと思われる結構の勾配の坂を上る。
こんな坂、こんな距離を感じるようになったのだ。





馴染みのトンネルを潜り抜けると馴染みの鳥居が並ぶ。
境内は善男善女でごった返している。





銭を洗う笊を大事そうに抱える人。
私は、今更銭を洗ってもどうという事も無い。











真剣な眼差しで銭を洗う人々の表情を眺める。











此処でも、梅が、紅梅だろう、今にも爆発しそうに硬く膨らんでいる。



甘酒を振舞われる、美味しい。
寄進箱に○円投げ込んだ。
この弁天様の由来は源頼朝までさかのぼる。
頼朝が夢に見た「良い水を探せ」のお告げによると言う。
此処の湧水は鎌倉五名水の一つだ。
その後、
北条時頼が「欲にまみれたお金を洗って、心も清めれば自然と富もたまる」と信奉を勧めたとか。

善い顔の地蔵を見付けた。



化粧坂から海蔵寺へ抜けたくなったが、
今日は余り時間が無い。
今日の本命は冬牡丹だ。



同じトンネルを潜ってもと来た道を戻る。


寿福寺の入り口で、これまた善い顔をした地蔵を見付けた。



そして何か曰くが有りそうな石塔、人の背ほどの高さがある。。



寿福寺の総門。





北条政子が頼朝の冥福を祈って建立した。
初代住職は栄西。
この地は源氏父祖伝来と言われ、頼朝の父義朝の館跡と伝わる。



この一寸の間の境内の静けさが好きだ。



寿福寺の中門は閉ざされている、年に何回かしか開放しないらしい。
まだ、この中へは入った事が無い。

裏山の矢倉に政子と実朝の供養塔がある。
お寺自体はたいしたお寺ではないが
このお寺が人口に膾炙してる理由がここにある。
墓地へ続く階段は落石危険で通行止め、



左へ曲がって登りつめると鎌倉時代特有の横穴式墓地、
その内の二つの中に政子と実朝の供養塔が収まる。

 

実朝の遺骸は首と胴が別々にされ此処には胴だけが埋葬されている。
首は不明とも、別の所に埋葬されているとか余説がある。
実朝が甥の公暁に暗殺された時期は、
実母である政子の権力絶大であった時期と思われるのに、
何故、かりにも征夷大将軍であり実子である実朝の遺骸がその様な始末になったのだろうか。
いずれにしても、
鎌倉政権が源氏から北条氏へと移行する中での権力闘争に巻き込まれて、
数奇な運命を辿った二人、
政子は嫉妬深い冷酷な稀代の悪女だったのか、慈愛に満ちた優しい母親ったのか。
実朝は何故暗殺されたのか。
興味が尽きない。



 

此処と瑞泉寺は現代の文化人のお墓が多くある。
文化人と名の付く人々を惹きつけるロマンの様な物があって、
功成し遂げた文化人達の「此処で眠りたい」と言う願望なのだろう。
この寿福寺は「薪能」など立原正秋の小説によく登場する。





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寿福寺の総門の前を暫く行くと直ぐ鶴岡八幡。
太鼓橋を左手に見て源平池沿いに牡丹園へ入る。







私は牡丹は余り好きではない、余りに華麗過ぎる。
冬桜などの清楚な花、水草、吾亦紅などの野の花が好きだ。
と言いつつ鎌倉まで足をのばしてきた。
そして、その華麗さに溜息をつく。





 



























余りに魅力的な女性に思わずカメラが向く。
私は、絵も写真も人物像を好む。
人物の一寸した機微を捉えた時に快感を味合う。
近年、肖像権が喧しく言われ、私の写真熱も彷徨している。



源平池をぐるりと半周して白幡神社。





舞段へ出る。
この辺りでで静御前が舞を舞った。



政子が激讃したと言う。
その際に鼓を打ったのが、やがて、曽我兄弟に仇討ちされる工藤祐経だ。
歴史は興味を尽かない。



そして大銀杏。
公暁が今にも大銀杏の陰から飛び出して来そうだ。
公暁が何故実朝を暗殺したのか謎が多い。
北条家の陰謀とも三浦氏の陰謀とも公暁自身の野心とも。
一つの歴史的な事件をこの大銀杏は見ているのだ。









それにしても実朝の歌は琴線を擽る。
世の中は常にもがもな渚こぐ あまの小舟の綱手かなしも

御神籤に一喜一憂する若者たち.





やがて八幡様に夕暮れが訪れる。





大銀杏は衰えを見せない。



冬牡丹は静御前に近いのか政子に近いのか、
そんな事を考えながら鎌倉を後にする。
春牡丹ではなくて冬牡丹だ。



 



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