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光明寺

酒豪夫婦と夜を通して付き合って猛烈な二日酔いだ。
酒豪夫婦の棲家は高槻市郊外の公営住宅、
古いアパートをリホームしたらしい。
朝、ガンガンする寝ぼけ眼で外を見ると、
一見、昆明に居るのかと錯覚する。
棟と棟の間がだだっ広く取ってあり、
イチョウや椛が綺麗に色付いている。

昆明で、毎晩の様に飲み呆けていた酒豪女が、
小奇麗で爽やかな生活をしているを見て、
微笑ましくなる。

兎も角、今夜からの宿をNETで探して貰う。
三条京阪の辺りで特別料金の宿が見つかった。
面白いのは、一日目は特別料金だが、
二日目は通常料金、通常料金は特別料金の約二倍だ。
この際だから贅沢は言って居れない。

ゆっくり過ごして、午後、彼女のお父さんと落ち合う。
お父さんと会うのは4回目、4年振り位だ。
四人で行き先を検討、
割合に近い光明寺に行こうという事になる。

長岡京からタクシーで長岡天神の前を右に曲がって、
15分位で光明寺。
西山浄土宗の総本山、開山第一世は法然上人だが、
その創建に尽くしたのは、あの熊谷次郎直実だ。
法然上人に心酔師事した直実が熊谷蓮生法師として、
念仏一筋に過ごした念仏三昧院が光明寺の前身なのだ。

まだ日没には間が有るのに、
折からの雨模様で境内は薄暗い。
その薄暗さが、かえって、
雨に濡れた紅葉を妖艶な美しさを増している。
カメラのピントを合わせるのには苦労するが、
雨模様で人影も少ない。



表参道の幅広い石段を登る。
両側から、真紅、赤、燈、紫がかった赤、茶、黄、
文字通り色様々な紅葉が覆い被さって来る。





法然上人像の絡む紅葉は、とりわけ、深い紅色だ。
この深い紅もそうだが、
残念だが殆どの写真がボケてしまった。











薬医門あたりの紅葉は、ひと際、艶やか、
華やかな紅葉のトンネルだ。













石畳の紅葉模様は天下一品だ。







二人に声を掛けたら振り向いた。
モンゴル旦那にも紅葉の美しさが通じているのかどうか・・・





ここも6時から灯篭に灯が点く。
いま、5時半。
考えてみたら、皆、昼ご飯をとってない。
その30分が待てない。
宿のチェックインは7時になっている。

長岡天神駅に戻って、焼き鳥を突付きながら乾杯、
飲み出すと止まらなくなるが、
やっとの思いで少し早めに切り上げる。
京都駅でロッカーから荷物を取り出し、三条京阪へ向かう。

駅を出ると、目当ての宿の看板が目に入った。
その看板を目掛けて路地を行くと、
看板の下の門はピシャリと閉ざされている。
何回か呼び鈴を押すが応答が無い。

またまた、ハプニングかと思った瞬間、応答があった。
「其処は裏門です、正面に廻ってください」
表通りに引き返すと直ぐ正面玄関、
値段からして小さな宿を想定していたが、
予想外に、中程度の大きさのホテルだ。

大きな風呂に大の字になって、一人だ。

明け方、全身が痒い。
またまた、ハプニング到来だ。
一週間ほど前、ほぼ全身に発疹が出て、
注射と薬で治まっていたのがぶり返したのだ。

明日はレンタカーが予約してある。
「困ったもんだ」
と思っているうちに多少まどろんだようだ。

つづく

 


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