鬼の旅_05 新庄・銀山温泉

左に鳥海山、右手に月山を見て、
鶴岡から最上川を遡り、新庄。

蕎麦屋を探す。
案内所で、
「蕎麦の美味しいところは?」
問うと、
「少し歩くけれど・・」
と紹介してくれた店に向かうが仲々辿り着かない。
途中、万屋のような店先の男に道を尋ねる。
「○○って蕎麦屋はもう直ぐですか?」
「○○かい、蕎麦ならあっちが美味しいンぞ」
穏やかな笑顔だ。
「近いですか?」
「ちけぇー、その角サ曲がった100m先ンだ」

 

成る程、土地の者が教えてくれたことだけのことがある。
歯ごたえ、喉ごし、舌触り、香り、腰、タレ、申し分ない。

時間潰しに、新庄ふるさと歴史センターへ入る。
この類のところで期待したことは無い。
ところが、驚いた。

 

夥しい民具が綺麗に仕分けられて陳列してある。
農機具、食器、玩具、織機、衣服、藁具、履物、大工道具・・・



新庄祭の優秀山車2台を常設展示してある。
大画面に祭り風景が映し出される。

新庄駅は物産館なようなものと一緒になっている。
そのベンチへ腰を下ろす。
と、前の女学生二人が席を立った。
キチンと椅子を元に戻した。
そう言えば、この街にはゴミが落ちていない。


大石田の駅まで出迎えがある。
尾花沢の近くだ。
8,9年前、この辺りを通っている。
奥の細道を辿ったあの時だ。
山刃伐峠はあの辺りだろう。

銀山温泉。
予想していたよりも遥かに小規模だ。
思ったよりも狭い小川の両脇に古い温泉宿が立ち並ぶ。





 

アメリカ人の若い女性がこの温泉宿に嫁入りして話題になっていた。
その宿は改築中だ。
原型を保つために工期は一年だそうだ。
そのアメリカ人女性は美人で働き者だそうで、
ご近所の評判もよろしいらしい。
子供はズーズー弁だとか。


その昔、三大銀山の一つとして栄えたが元禄年間に廃坑となり、
その後は温泉として息を保って来たらしい。

高さ22メートルの白銀の滝を眺め、せことい橋を渡り、
銀山鉱洞までの散策コースを辿る。





 

 





河鹿橋、洗心峡、夏しらず坑を経て銀鉱洞へ、岩肌が怪しく光る。

 

 


食事前に温泉街を歩く。
心なしか此処の河鹿は穏やかに鳴く。
温泉街と言っても13軒の温泉宿。

 

 

 

 

 

 

最近出来た足湯に浸かる。
電線も地下に埋めたらしい。
近代化の中で、
大正年間の町並みの風情をそのまま伝承して行こうとしているのだろう。
それはそれで大変な事だ。


「いとうや」の若女将は7代目だそうだ。

 

山菜が並ぶ。



何が何だか判らないが、名前を尋ねてみた。
あいる、うるい、くわだい、うど、くどけ、竹の子、
ばっけ(ふきのとう)、うど、あけびの新芽。

岩魚の叩き、月山の筍。
尾花沢牛のしゃぶしゃぶと牛刺寿司。

 


夜の銀山温泉、
ガス灯が灯ると大正時代に戻る。










朝7時出発、「いとうや」の本女将の運転で大石田駅へ。
昔は、この辺りの人間は40歳くらいまでしか生きられなかったそうだ。
大石田は琴の若の出身地、
彼が勝つと夕方6時に花火が上がるのだそうだ。


終わり

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