第六十一番  香園寺



このお寺の御影は二枚ある。

境内に入って建物の豪壮さに驚く。
異様さすら感じる。
と言ってキンキラな悪趣味な建物ではない。
何処かの音楽ホール、美術館と紛う。





山奥に入って思いも寄らない大規模なお寺を見出す時が有るが、
このお寺のある小松町、
それ程裕福な檀家が打ち並んでいるようにも思えない。



大聖堂と呼ばれる内部に入って、
再度驚嘆する。
数百とも思える椅子が並べられた高い天井の本堂、
柱が一本も無い。
境内もそうだったが、塵一つ無い。



これだけの規模のお寺の管理維持、
その疑問が解けた。
本堂の周囲の欄間に貼り付けられた写真の数々、
子宝に恵まれた人々からのお礼なのだ。
何代か前の住職が世界中を行脚して信者の帰依を集めたのだ。

真に以って、
子宝は金銀財宝には代えられないのだ。



朝のお勤めに出る。
綺麗な尼さんが綺麗な声でお経を上げる。





朝、一人の自転車遍路と目が合う。
近くで野宿をしていたらしい。
「私は百の仏像を奉納しようとお遍路をしてます。
自分で彫るのです。
今、12個目です。
仏様を彫りながらのお遍路なので、
一回りするのには一年掛かります。」
世の中にはいろいろな人が居るものだ。

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