第56番 泰山寺


 

弘法大師の善行伝説は各地にいろいろな形で残っているが、
当地に残っているのは工事伝説。

この近くを流れる蒼社川は別名人取り川とも呼ばれるほど、
年々氾濫を繰り返し人命が奪われていた。
当地を訪れた大師は堤防を築きこの世の人々を災害から救った。
その一方、土砂加持を行い災害で亡くなった人々の霊を慰めた。

加持とは、広辞苑に、
病気災難を除く為に仏陀の加護保持を祈祷すること、とある。



このお寺には山門が無い。
門柱から真新しい石塀に囲まれた境内まで大分距離がある。
昔は同じ境内だったのだろうか。







熱心にお祈りを捧げる人々を眺め、
お念仏を聞いていると、
一瞬ではあるが、
物見遊山の気分が遠のく。
白装束は死装束、
直ちに墓標となるべく金剛杖の上部は五輪の塔の形、卒塔婆と同じ形、
即ち、
お遍路は死と背中あわせなのだ。

 

 

 

ここで56箇所の納経が済んだ事になる。
心なしか納経帳が重くなったようにも感じる。
本来はお経を奉納した記しにお寺さんの印と署名を戴くのだ。
お経を知らない私はせいぜい小銭を投げ込み手を会わせるだけだ。
ツアー遍路ではガイドさんが一括して納経所に持ち込んで居るのが多い。
手際よくお遍路をするには致し方ないことなのだろう。
それに比べれば、空海さんにもお許し戴けるであろう。

ついでに、
お詣りした印に札所に収めるのが納札。
巡礼回数によって6種類ある。
始めは白、5回から青、8回から赤、25回から銀、50回から金、100回から錦。
連れのお一人が旅行きが多い私の為に金の納札を探してくれた。
これを身に付けて旅すると有難いお守りになるのだ。

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