第四十一番  龍光寺



宇和島の街中を歩く遍路、



何処かの宿で膳を共にした歩き遍路に聞いた話だが、
最低でも45日を要するそうだ。
費用は50万程度とか、
余程の暇と経済的な余裕が無いと簡単には出来ない。
何よりも体力だ。
30k程の荷物を背負い、1220kmを走破するのだ。
険しい山道、照りつけるアスファルト道路、
暗い長いトンネルもある。
雨も雪も降る。
並みの根性では不可能だ。

宇和島の名は懐かしい。
一緒に生活をした事のある友人に松根と言うのが居た。
彼の何代か前は宇和島藩の家老だった。

宇和島を通り越して山間に入る。
三間平野の小高い山の中腹に龍光寺。



此処は「三間のお稲荷さん」として親しまれている。
お稲荷というと商売繁盛の神様を連想するが、
その名の通り、元々は稲作の神だ。
お寺に鳥居?
神仏分離で、元々の本尊である稲荷大明神は本堂と共に、
稲荷神社として分離されたのだ。



昨夜の宿坊で一緒だった遍路ツアーの団体と前後する。
地べたに正座し敬虔な祈りを続ける。















団体ツアーと前後してから、
納経するのに大分待たされるようになった。
見ていると、
ツアーガイドが何十冊かの納経帳を住職の前に広げる。
遍路たちがお祈りしている間に代わりに納経するのだ。
これで霊験が授かるのだろうか。
住職も、何冊か広げて、印をポンポンポンと押す。
まさに大量生産だ。
通し打ちで8泊九日と聞く。
忙しい旅なのだ。



最後に広げられた納経帳は印で真っ赤だ。
二回目からは印だけを押す。
「これで何度目くらいですか?」
と尋ねると、
「?十回」
ガイドさん自身の納経帳だそうだ。
急ぎ足で立ち去る後ろ姿に後光が射している。
まだうら若い女性ガイドさん、
良い心掛けだ、きっと良い事が有るだろう。


続く
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