第三十番  善楽寺

 

高知市を一旦通り過ぎた格好で善楽寺に着く。



 



ここも廃仏毀釈の影響をもろに受けたらしい。
ややこしいが、
元々、善楽寺は土佐一ノ宮の別当寺だったのが、
明治の廃仏毀釈で一ノ宮が土佐神社となり善楽寺は廃寺。
後に本尊を迎えて安楽寺が建立され、
昭和になって善楽寺も再興され30番礼所が二つになる。
平成になって30番は善楽寺、安楽寺は奥の院に云々。
我々庶民とは別格に思える神社仏閣も、
容赦ない歴史の波に晒されているのだ。
土佐では特に廃仏毀釈が過激で、
615の寺が167にされたと言う。



この辺りで前後する黒衣のお遍路さん、
お祈りする姿もどうにいっている。
何回か行き会う内に目礼を交わすようになる。
その彼が最初に口を開いたのは、
「もう、食事を済まされましたか」
思わず、顔が砕ける。
我々もそうだが、彼もお腹が空いたらしい。
どんな人でも、人間は人間だ、
と感じる一時だ。




続く
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