第十二番 焼山寺


 

車がやっと一台と通れる細い急坂を上り詰める。
標高830m、四国遍路の難所、一焼二鶴の一焼だ。

 

鬱蒼と林立する大杉の中に凛とした佇まいの焼山寺が現れる。
歩き遍路にとっては難所中の難所だ。







樹齢800年の大杉が遍路達を癒す。
囀りが絶え間無い。

 

 

伊予の強欲長者衛門三郎が托鉢姿の弘法大師を邪険に扱った後、
8人の子供が次々に死んでいった。 
反省した衛門三郎は大師の後を追い遍路に出るが、
ここ焼山寺で行き倒れとなる。
再会した大師に「もう一度生まれ変わって功徳を積みたい」
と言って息を引き取る。
大師は「衛門三郎再来」と書いた小石を握らせ再来を祈願した。
数十年後に伊予の領主家にその小石を握った男子が生まれた。
その石は第53番石手寺に祭られていると言う。

何時の時代から伝えられたのであろうか、
どのお寺にも、このような大師にまとわる伝説寓話が残っている。
その一つ一つの話の奥に笑えないものを秘めているような気がしてならない。



まさに深山幽谷、まさに修験場だ。


続く
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