続々昆明記8  九竜瀑布

近くに九龍瀑布という滝がある筈だ。
地図を広げるとそう遠くは無い。
しかし、通りへ出てもタクシーが一向に通らない。
向こうに見える街まで行けば何とかなるだろうと歩き出す。
3,40分歩いても両側は農家ばかり、街の中心が出て来ない。

時折トラックしか通らない道端に蜜蜂を並べ、
小父さんがのんびりと煙草を吹かしている。
「この蜜蜂、幾ら?」
話掛けてみた。
「30元、今日は客が少ないから安くしておくよ、
一寸舐めてみな、美味いぞう」
舐めてみたが、美味しいかどうか判らない。
元々、甘い物には興味が無い。
「何処から来た」
「昆明」
「昆明辺りで売ってる蜜蜂はみんな砂糖が入ってるんだ、
ここのは此処で採れた100%純粋ものだ」
と辺りの菜の花畑を指差す。
「じゃー10元でどう?」
「いや、20元だ」
「15元」
「まあ、いいか」
ビールの中缶程の大きさ、ずっしりと重い。
「九龍瀑布へ行きたいんだけど、タクシー来ないかなぁ」
「その内にバスが来るよ」
と言ってるところへバスが来た、小父さんが手を挙げて止めてくれた。

バスは菜の花畑を抜けて谷沿いに走る。
谷を奥まると向こうに小さく滝が見え出した。

ゲートから長いアプローチ、1kmはあるだろうか、重い足を引きずる。



遠くからはそれほどに見えなかったが、近づいてみると巨大だ。
水量も多い、滝の中段の幾つかの岩が流れを複雑に変え、











大小様々な水条のバランスを保つ、自然の創り出す見事な景観だ。



下方の人影が豆粒如きだ。
九龍瀑布との命名も的を得ている。



売店にどっかりと座り込みビールを抱え込む。



大根を丸ごと齧っている人に何人か行き違う。
真似してみた、ほんのりと甘みが有ってさっぱりしていて珍味だ。
粽も試してみたが、まあまあだ。





つづく

 

  





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