続昆明留学雑記3
火鍋、竜門、電気代、日本料理店、喧嘩、松茸もどき

9/20
昨夜は火鍋、
歩道にはみ出す位のテント張りの店に、
4人用のテーブルが2,30、ビッシリ並んでいる。
この店は評判が良いらしく若い人達で満員、暫く待つようだ。

テーブルの真ん中に大きな穴が開いていて、ガスコンロ、
その上に直径が30cm位の既にだし付きの汁が入った鍋が置かれる。
汁は、淡、辛(唐辛子の)、鍋が半分に仕切られていて淡辛の両方あるもの、
の三種類から好きなものを選ぶ。

一方の棚に色んな材料が並んでいて、
串に刺してあるのは3角(約5円)皿に盛ってあるのは2元(約30円)、
これらの中から好きなものを持ってきて鍋の中へぶち込む。
材料は、
豆腐、昆布、椎茸、初茸、葱、湯葉、鶉の卵、ハム、南瓜、トマト、
筍(細い)、コンニャク、薩摩揚げ如き物、烏賊、にが瓜、菜っ葉、等々
あとは鶏、豚、牛、頭から尻尾まで数え切れないほどの肉類だ。

 

これらを小皿の用意された辛い調味料
(唐辛子、ニンニク、味噌、豆腐の唐辛子漬け、青葱を交ぜる)
に付けて食べるのだ。
腰が抜けそうに美味しい!

   

 

これらをツマミにビールを飲んでると天国に近づいた感じだ。
勘定は串の数、皿の数で支払う。

9/23
ここで、あらためて、昆明の概要。
雲南高原のほぼ中央、海抜約1900m、雲南省の省都、人口370万、
都心には高層ビルが競立する。
一月の平均気温が約8度、7月の平均気温が約20度、
四季を通して緑が絶えない、別名「春城」とも言われる由縁だ。

歴史的にみて、紀元以前から日本との繋がりを示す代物がある。
昆明の南方に
中国第6番目の大きさの湖「テン(サンズイに真)池」が広がっているが、
この「テン池」の畔で発見された「テン王の印」は
日本の金印「漢委奴国王」と共に漢王からの授かり物とされている。
当時、漢の都で、昆明人と日本人が杯を酌み交わしていたかも...

この「テン池」の西方に絶壁のようにそそり立つ山脈一体が森林公園、
西山公園と言う。この公園内には無数の神社仏閣が散在する。
今日は、その西山公園の最高峰の仏閣、竜門に出掛ける。

昆明の中心から15k余り、
途中の幾つかのお寺をパスして竜門へ直行。
僅かの時間だけど傾斜の険しいいろんな形の階段を登る。
途中で息が切れる。年のせいか、毎日の酒のせいか、海抜2500mのせいか。

 

絶壁に彫りこまれた幾つかの洞門を潜り抜けると竜門、絶景だ。

  



ほぼ直角の岸壁の下にテン池、その向こうに昆明が広がっている。

一寸した洞穴に石像の牛の親子、何でこんなところに牛が?



此処で修行した著名な修行僧の話だ。

彼は猪殺を家業としていた。
或る日、親牛と子牛を買った。
当然ながら、親牛を殺そうとした。
その時、子牛がナイフを隠し涙を流している。
これを見た彼は感激して牛を殺すのを止めた。
更に修行の道にまで入ってしまった。
これを知った子牛は、これも感動して、小さな角で辺りの岩を突いた。
其処から泉が湧き出た。
その後、その猪殺人は有名な高僧になった。
こんな伝説が伝わっている。


9/24
電気代が払えなくて困っている。
まず、通り掛かりの工商銀行へ行くと、
ナントかナントか言っていて受け取ってくれない。
次の中国銀行へ行ったら、江岸小区の銀行へ行け、
江岸小区の中国銀行へ行くと、工商銀行へ行け、
工商銀行を、やっと、探し当てたら、
何か用紙を呉れて、此処も受け取ってくれない。
その用紙は「委託銀行代理収費申請書」。
どうも預金通帳を作って振込してくれ、らしい。
その用紙の欄の一つに家主とあるが、間借人だからどうしたものか?
「電気代の支払いを怠ると、直ぐ、電気を切られるから注意してください」
とTに言われている。
何時、電気を切られるやら、ハラハラものだ。
(後日談:わざわざ中国人の友人に頼んで一緒に行って貰ったらスンナリ受け取って貰えた。
どうなってるのか、サッパリ判らない)


9/24
やたら刺身が食べたくなった。
去年までちょくちょく行った五人百姓がつぶれたらしい。
もう一軒行ったことのある日本料理店へ行ったら、靴屋に変わっている。
あとの一軒は店の名前も場所も忘れた。
口惜しいので何がしてでもと、
タクシーを拾って運ちゃんに案内を頼む。
「このビルの三階の○○だよ、直ぐ分かるよ」
三階に上がって探すが見当たらない。
お喋りしていた二人の女の子に尋ねる、
「ああ、○○は先月閉店したよ」
「あなた達、何処か日本料理店知らない?」
「知ってるよ、行った事無いけど○○ビルの六階」
愛想良く地図まで書いてくれた。

タクシーの運ちゃんに地図を示し、
着いたのは昆明で一番新しい百貨店ビル、
中央が六階まで吹き抜けになっている近代的なビルだ。




三方素通しのガラスのエスカレーターで六階、
日本式の提灯がズラリとぶら下がっている。
が残念、
「来週開店」
のビラが貼られていた。
一階の広場ではファッションショーが繰り広げられている。



昆明での日本料理店経営は難しいらしい。
昆明は、まだまだ、日本企業にとって魅力ある市場では無いらしく、
日本企業の進出も少ないと聞く。
北京のトシが
「昆明ねー」
と首を傾げて居たのを思い出す。
そう言えば、去年行ったことの有る日本カラオケ屋も無くなった。
其処の常連は日本の航空会社関係の人達だった。

夜、TVで新しい日本料理店の開店紹介がある。
仲間達は
「何時までもつか」
と囁き合っている。


9/25
扉の外で大騒ぎが始まる。
なにやら子供と母親が喚いている。
親子喧嘩と思っていると、
その内に大人の女が怒鳴りあいだした。
子供の喧嘩が親に波及したらしい。
今度は男二人の声が交じりだした。
父親もご出陣らしい。
始め喚いていた子供の声は聞こえなくなった。
男女の声がだんだん激しくなる。
甲高い声が飛び交う。
女の声と男の声は3:1くらいで女が勝る。

近所の人も駆けつけてきたらしい。
そんな、騒ぎが一時間も続く。
次第に声が小さくなり、口数も少なくなってきた。
やっと収まったと思ったら、
今度は、男と女が遣り合い出した。
最後は夫婦喧嘩まで及んだらしい。
日本でもよく見られる風景だが、声の大きさが中国式だ。


9/27
市場で珍しい茸を見つけた。
マツタケごときでマツタケとは一寸違う。
笠はマツタケに似ているが茎が根っ子の様に伸び、
先が細くなっている。
一本14元、200グラム。
普通の椎茸などと比べ10倍だ。
「随分高いね、少し負けてよ」
「駄目だ、天然物だ、これを採るのは大変なんだ」
「何処で採ったの?」
「山だ」
「何処の山?」
「臨滄の山だ」
「何て言う山?」
「山奥の山だ」
それ以上は笑っているだけだ。
多分、秘密の場所なのだろう。
天然品である事は間違いない。

 

一晩経ったらこんもりした笠が傘に広がってしまった。
薄く切って焼いてみた、香りは少ない。
醤油をつけて食べると、こりこり、美味しい。
噛むと味が広がる。

続く

 

  

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