西双版納(シーサンパンナ)1

旅行好きの中国人の誰もが一度は行ってみたいと言う、所謂、西双版納は、
中国雲南省の南西部のタイ、ミャンマーと国境を接している西双版納タイ族自治州を言う。
州都が景洪(ジーホン)、標高は約500mに位置する。
通称、海抜0mから5000mと言われる雲南の最南端に近い。
多くの少数民族が暮す地でありタイ族発祥の地だ。
景洪からタイへ船便があるのだが、
水量の増減や盗賊の出没の関係で運行状況が極めて怪しい便と聞く。

昆明か景洪まで、双発のジェット機、あっという間だ。
降着場の出口で女の子が両手で捧げている白い紙に私の名前、苗字氏名が書いてある。
狐につままれたようだが、昆明の丘さんの心配りだろう。
ガラリと広けた周囲に緑の山が霞んでいる、大きな盆地のま真ん中だ。
空は澄み切って爽やかな風が心地よい。
まだ2月というのに、女性達の殆どがノースリーブ、
日本の雨が降らない梅雨、6月末の気候だ。
椰子の並木道を快調に飛ばして景洪の中心のホテルにチェックイン。



15階くらいの白い近代的なビル、屋上の時計台が4時を示している。
ロビーで旅行社の中年のおばさんが待っていた、 いかにも遣り手の感じだ。
こちらのカタコトの中国語と英語で全て理解してくれる、客慣れしたベテラン、
「何かご用が有れば何でもおっしゃって下さい」
と、電話番号をメモして帰っていった。





付近を散歩して、手持ちのラーメンを飲み込んで、一寝入り。
案内書に按摩の案内が有る。
日本では何処かの温泉に行くと、必ず、按摩するのが習慣になっているが、
中国に来てからまだ按摩の経験が無い。
本格的タイ式按摩とある。
フロントに電話すると、部屋には来てくれないらしく、
「3階に有ります」
と素っ気無い。

3階で、
二人のボーイが仰々しく案内して呉れたのは個室だ。
シーサンパンナで一番のホテルでまさかとは思うが、
これは例のいかがわしい奴かな、と身を固くしていると、タイ系の美人がニコニコと現れた。
20歳にはなっていないだろう。
心配したものではないらしい、45分も、普通にやってくれた。
頭の按摩に特徴が有るが岳陽の床屋の按摩とどっこいどっこい、まあまあというところだ。

按摩し終わると、小さな紙片を差し出した、意味が判らなくて躊躇していると、
どうも費用らしい、適当に、20と書くと、ニコニコ首を左右に振って、
「もう一つ」
○だと言う。 あれれ、としているうちに先程の二人のボーイが、
不自然なくらい慇懃に、世話を焼いてくれる、靴まで捌かせてくれた。
帰ろうとすると、二人が差し出したのは、さっきのオネエチャンと同じ紙片、
「幾ら」
と聞くと、ニヤニヤしていて、
「お気持ちだけで..」
と言ってるようだ。
何だか薄気味悪くなったので、30と書くと、納得したようだ、放免してくれた。

精算所で請求されたのは、320元、ホテル代並みだ、日本円で5000円くらい、
日本の温泉での相場が4500円、まして中国だ、どうもやられたようだ、口惜しいから、
「明細書を書いてくれ」
というと、何やら書いてくれた。
中国に来て6ヶ月、始めてぼられた経験だ。
まあまあ、傷が浅くて良かった、くわばら くわばら!
君子危うきに近寄らず..だ..

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7時に目が覚める、まだ薄暗い、やはり、西に来ているのだ。
ホテル前の孔雀湖と言う小さな公園をぶらついて、人を眺める。



南国の陽光の中にいろんな顔が現れる。
土地の人と旅行者と半々くらいだりうか、殆どが中国人だ。
皆写真好き、公園をバックにポーズを決めている熱心に子供を撮る父親母親、
日本の何処ででも見られる風景と変わらない。
カメラを携えている人が多く、
二、三人の写真屋のお姐さんが客を物色しているがみな手持ち無沙汰だ。
やっと客が付いた、一人が緑色の布をパッと広げ客の背後に垂らす、
客が神妙な顔でコチコチに直立不動のポーズを取る。

リンタクを拾う、自転車の後ろにリヤカーをくっ付けたようなものだ。
当然人力、これが街の中を無数に走っている。
街の中を巡回しているバスもなさそうだし、タクシーを使うには街が小さいのか、
このリンタクがこの街の重要な交通手段のようだ。
運転しているのは男性女性が半々くらいだろうか、
中年男の運ちゃんに、
「幾ら?」
「5元」
「高い、3元」
「じゃあ、4元」
「OK」
我ながら、だいぶ板に付いて来た。


民族風情館、
昆明の民族村はだだっ広い平原の中に如何にも造られた部落がポツンポツンと有るのだが、
ここの民族風情館は密林の中、
緑のトンネルを潜ると、次々に全くそのまま?の少数民族の家屋が出現する。

まず、軍鶏の闘鶏、日本で観た事があるが、此方が本家のようだ。
始まるまでが大変、三人の男、二人は軍鶏を抱え、
一人はブツブツと呪文を唱えながらドンブリの水を榊のような葉で辺りを清める。
今度は場内を一回りして、観客を清める。
いよいよ2匹の軍鶏が向かい合わせられて、闘いが始まる。



凄惨な闘いが続く、一匹が後ろを向いて、観客席に逃げ込むと、引き戻されて、頭を撫ぜながら、
水を与えられて、仕切り直し、こんな具合で、何回か途中に休みが入り、又闘いが再開される。
さっき逃げた方の軍鶏も直ぐに立ち直り立ち向かって行く、闘争本能なのだろう。

それぞれ一軒の民家があり、その中にその民族独特の生活用品が陳列されていて、
民族衣装の女の子が、中国語で説明案内をする。

続く


 



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