敦煌への道
シルクロードへの熱い思いの実現する時がやって来た。
葡萄美酒夜光杯
欲飲琵琶馬上催
酔臥沙場君莫笑
古来征戦幾人回
謂城朝雨?軽塵
客舎青青柳色新
勧君更尽一杯酒
西出陽関無故人
漢詩の中でも特に好きなこの二首、
そして、井上靖の「敦煌」、
更にとどめはNHKで放映された「シルクロード」だ。
折から、二週間の現金付きボーナス休暇、
新聞広告の「夢紀行シルクロードの旅」募集に飛びついた。
378,000円、行程は、
香港-(列車)-広州-(飛行機)-長沙-(飛行機)-蘭州-(汽車)-安西-(車)-敦煌。
まず、香港の喧騒に驚かされる。
直ぐ、列車で広州へ向かう。
当時、深センは建設中だ。
車窓の田園風景、
天秤棒を担ぐ若い女性の多さに驚いたもんだ。
日本では絶対に見られない風景だ。
広州。
当時、普通の旅行ツアーは、まだ、許されていない。
友好使節団なのだ。
京劇の観劇、拍手に迎えられて中央の席に案内される。
友好団として幼稚園訪問も含まれている。
利発そうな子供たちも良く心得ている。
あどけない笑顔一杯で、友好訪問団を歓迎する
選び抜かれた幼稚園、そして、園児達。
その他、植物園訪問など、
友好使節団の行事に大分時間が取られる。
広州の街中で前を行くトラックの荷台、
1980年のことだ。
今ではこんな風景は絶対に見られない。
広州から長沙まで飛行機、プロペラ機だ。
離陸すると乗客が拍手喝采、
着陸するとまた拍手が鳴り渡る。
長沙で乗り換えだが、3時間くらい待たされる。
現在の長沙空港にこの面影は残っていない。
下の写真の右から二人目、三人目がスチュアレス、
今は、中国のどんな田舎の飛行機もこんな格好はしていない。
蘭州。
中国の広さ、南北の違いをまじまじと味合わされる。
蘭州に近づくと下界は泥色だ。
空港から街に向かう車からの風景もかくの如きだ。
蘭州の街も殺風景この上ない。
工場の煙突から真っ黒な煙がもうもうと立ち昇っている。
それも半端な数ではない。