チベット記10-4

夕方、二人がやって来た。
「シャオコウが食べたい、俺が店を知ってるから案内する」
「近いか?」
「近い」
私が、ジョガン広場の入れ口の屋台に案内する。
と、建飛が、
「ここは美味しくない、やっぱり、俺が案内する」
とタクシーを拾う。
案内されたのは、ズラリとシャオコウ屋が並んでいる。



 

 



やはり、土地の人間には敵わない。
これが今回のチベットの旅の最後の会食になる。
息の合った二人を眺める。
お似合いだ、きっと幸せな家庭を持つだろう。
「結婚式には是非来てくれ」
「必ず、出席するよ」
彼らは、ラサと麗江で二回披露宴をやるそうだ。
ラサは無理にしても、麗江なら参加できるかも知れない。


建蔚がバス停まで送ってくれた。
運良く左側の席が取れた。
車窓から、最後のラサ風景を収める。
刻々変わる車窓の風景、
一時間半、殆どシャッターを押しっぱなしだ。
動いているバスからはイイ写真が撮れないのが悔しい。

















ラサ空港、
3時間近くも早く着いてしまった。
何もすることないし、ただただ、ビールを飲む。
癪なのは街で5元のビールが30元、
三本も飲んでしまった。
ビールの値段を知っている中国人達はお茶を飲んでいる。
最低消費10元の大きな看板に笑ってしまう。

 

滑走路の向こうに雪山が望める。



飛行機も窓側の席を選んだ。
機中からラサを見納める。
もう一度来れるかどうか、多分、これが最後だろう。

 

チベットから四川に入ったようだ。
眼下に見えるのは、四姑娘山じゃないかな?



成都に着く。
此処でも3時間待ち、
また、ビールを飲むしかない。

 

売店でフッと目に付いたお酒を衝動買いする。
三星堆の縦目仮面を形どった徳利と杯に魅入られたのだ。



中身は判らないが外見が気に入った。

ラサから昆明へ12時間、
半分以上は待ち時間だ。
兎も角、昆明まで帰ってきた。


昆明での三日間は慌しい。
昆明に拠点が有るのは心強かった。
が、
今回を以って昆明の拠点を引き払うことにした。
大家さんとも円満に話がついた。
使い慣れた食器の油を落とす。
着古した衣類は大方処分した。
私としては丹精込めて塵を拭ふ。
電気のコンセントも全て引き抜いた。
水道、ガスの元栓も締めた。
カチリと鍵を閉める。

これで放浪の旅は終わるのか、
一抹の寂しさを感じる。
また、新しい旅の始まりかもしれない。


チベット記1(香格里拉)、チベット記2(梅里雪山)、
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チベット記7(ノルブリンカ離宮、西蔵博物館)、チベット記8(ラサの街角、ラサの病院)、
チベット記9(ラサ裏通り、ソンキョ・ルカン公園、パラルブ寺、マニ塚)、
チベット記10.完(拉沙苞姑尼姑寺、バスツアー、ラサのカフェ、ラサのお土産、ラサ河)




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