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台湾記3


 

日月潭から台中への道すがら、マンゴー、サトウキビ、レイシ、ヤシ、ホップ、
パイン、ヘチマ...色々な食物の木が車窓を過ぎる。勿論、バナナもだが、
これだけ食い物に恵まれていれば、それこそ、食い物には困らない。
もっとも、現在は、皆、人間の手が加わっているのだが。

このあたりは台湾でも屈指の水の美味しいところで、この辺で造られる
プーリー(?)の紹興酒は最高の美味とか。

車窓にお墓が出て来る、と、お墓の中に必ずバナナの木が何本か見える。
難産で亡くなった人の墓にバナナの木が植えられるのが習慣なのだそうだ。
バナナは一生に一回だけ一房だけ実がつき、実が採られたあと、
母木は枯れ絶える前に、同じ株から、子株を作る。
こんなバナナの習性にちなんだものだそうだが、何かもの悲しい。

台中の市街に近くなると、信号で停まる度に、スクーターが多くなる。
自転車は疎らにしか見えない、いつしか、自転車がスクーターに取って
代わったのだろう。
スクーターを運転しているのは、半分くらいが若い女性、惜しげも無く
格好の良い足を根元まで出して、颯爽と風を切っている。
マスクをしてる子もいるな、と見てると、何と、女の子の半分位が、
色とりどりのマスクをしてる。
色鮮やかな赤、ピンク、青とか、水玉模様、格子模様、要するに
デザインを競っているのだ。中には、ケンゾーなんてのも有りそうだ。

鹿港と言う所で、提灯屋さんを覗く、提灯に絵入れをしてるお爺さんは
台湾の人間国宝だ。 このお爺さんの提灯の絵が台湾の切手にもなっている。
店中が色彩鮮やかな提灯で満ち溢れてる。



日本の観光地の名前が入っているものも混じっている。
いくら提灯店でも、四六時中、こんなに沢山の提灯を、と訝しげに思ったら、
案の定、事前に、民生局に提灯店訪問をお願いして有ったそうな。
お爺さんは、提灯にフリーハンドで色模様を描いていく。



いよいよ台北に向かう。

おりからのラッシュアワーをついての台北へ入る。
まず、夕食、広東料理だ。
何階建てかの料理店の二階に陣取る。
私は胃袋が少ししか残ってないので、過食は厳禁。
多種多彩な中から一つまみずつつまんで、もっぱら、紹興酒のつまみだ。
仲々薄味で日本人向きかも知れない。
私達以外は、一つの団体客が二階の殆どの席を占めている。
中央の席に、新郎新婦が入場した。
結婚披露かと思ったら、婚約披露とのことだった。



花嫁の美しいこと!
男性連は食事もそこそこに花嫁に見とれている。
奥さん方は、無関心を装い、横目で眺めている。
美しい花嫁だ。
一寸素人離れしている、女優さんかも判らない。
帰りがけにカメラを向けたらポーズを取ってくれた。

美麗華大飯店というのが台北の第一夜だが、
ホテルの中は右も左も日本人、どうも日本人向けのホテルのようだ。

夜、華西街の探索、途中、派手なイルミネーションで飾られた総統府を通る。
台湾で一番盛大な慶祝日、10月10日の双中節の飾りのあとだ。
20万人もの人がこの広場に集まって来たという。
2、3日中にこのイルミネーションは取り除かれる。
ラスベガスの様に色彩はなく、ショー的な要素も無いが、兎も角、
キンキラだ。 と言って成り金のキンキラとは違う。
中国の歴史の重みがエキゾチックに輝く..って感じかな。
当初予定の10月10日の航空券が取れなかったのは
この双中節のせいだと聞いていたが、納得。

華西街を一回りする。
相変わらずの熱気、トラさんの目付きをモットモット白くしたような
男たちが、左手に生きた蛇やスッポンを持ち、右手に包丁を持って
生血を取るまで、ダイナミックに実演しながら、その血を売っている。
以前きた時、度胸試しとかもあったのだが、この生血を飲んだのが信じられない。
路地の奥はミステリーな雰囲気で満ち満ちている。
ガイドさんがついいているので、胸を張って歩く。
何処かへ入って、何か変わったものでも挑戦しよう、なんて
思っているうちに、元のところに戻ってしまって、ハイ、それまで...だと。

ホテルに戻り、売店を覗く。
面白そうなものが色々ある。
私は小壷の収集が趣味の一つだが、格好の良い、大理石のキラキラ光る奴が、
やたらと衝動買いを誘惑する。
かれいさんのご忠告も頭にこびり付いており、胸をこすりこすり、グーットこらえる。
硯、筆、墨も格好の良いのがズラリとある。
明後日、R先生に再会するので、と、これも、グーットこらえる。
巷には、オバン族のショッピングツアーなんぞというものもあるが、
買いたいものをこらえるのは、仲々、お腹が張るもんだ。

でも、我々には紹興酒が有る。
たまたま、4人の酒好きが揃ったので、半端ではない。
一人は、台中からのバスの中で3時間も飲みどうしできたので、相当に
出来上がっている。
其の彼と、同室になる、普段話さない事を喋り出した。
2回離婚して、45歳、初めの奥さんとは子供がまだ物心付かない頃に別れた。
別れた時に、その子供を兄のところに預けた。
もう、いっぱしの青年になっている、その青年とはまだ親子の名乗りをしてない、
仕事の関係で、よく、その青年と顔を合わせる。
その青年は本当の親父の事を知ってるのかどうか、彼は判らない、と。
トラさんじみている顔がクシャクシャになる。
涙もろいわたしはたまらない。
トラさんがきちんと定職を持ってるってな男、が、彼の印象。
渋々出した名詞には、左官工事一式請負、一級技能士、職業訓練指導員とある、
しかし、如何にも独り者プンプンだ。
[よし、おれがあんたの奥さん探してあげる]
なんて安請け合いしてしまった。
あまりの人の良さに歴代の奥さん参ってしまったらしい。

明日はいよいよ故宮だ。

続く



 






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