data-ad-slot="9301973140"> data-ad-slot="9301973140">


夏の句

2018年
彼方此方にぶつけてばかり春深し
朝湯して野球を観てる子どもの日
朝湯して新緑浴びてみどりの日
朝湯して翔平観てる子どもの日
猫と犬顔つき合わす薄暑かな
土牢に人の気配や五月雨るる
錠剤を七粒飲んで春惜しむ
新緑と海と空見て深呼吸
逝く春や日毎につのる足の萎   
風の道つぎつぎ作る初つばめ   
土牢に人の気配や梅雨兆す    
薫風を纏ひ箱根を縫ひ歩く    
新緑をリス渡りゆく建長寺    
江ノ電の通り過ぎたる薄暑かな
早川の次は根府川梅雨に入る
紫陽花やしきりに昔想い出す
同窓会の通知が届く薄暑かな
まだ取れぬ足のむくみや梅雨に入る
万緑の中辿り着く万葉亭
万緑やまた読み返す旅日記
オオルリはなべて長調小海線
甲斐駒の青嵐なむ小海線
さるおがせ鎌倉山に青大将
黒猫の薄目を開ける薄暑かな
膨らんで膨らみ過ぎて七変化
秘め事を秘めし如くや七変化
古傷の痛み和らぎ梅雨晴れ間
秘め事を秘めし如くや半夏生
羅をふわりと纏う菩薩かな
故郷の父母に供える新茶かな
青墨の程よく滲み梅雨に入る
朝顔や頬ふっくらと祇王祇女
沙羅双樹ふふと微笑む祇王祇女
短夜や闇にとろけて京言葉
格子戸にそう朝顔や京なまり
不器用は生まれつきなり青嵐
不器用は生まれつきなり水馬
短夜や小言の絶えぬ母の夢
心太いまだ青二才にて候
打水やいまだ青二才にて候
空梅雨や強羅の坂を登りきる
鳩の中鳩降り立って梅雨明ける
梅雨明けや鳩の降り立つ鳩の中
筋書きも粗筋もなしカタツムリ
朝顔や格子に漏れる京言葉
青梅雨の銅鐘重く届きけり
河童忌やまま青二才にて候
拝啓も敬具もなくてかたつむり
不器用は生まれつきなり心太


2017
何度でも水辺を打ちて夏燕
富士映す一枚毎の植田かな
頑固さも少し和らぎ風薫る
海月ふわりふわり無言を徹しけり
陽炎の中へ江の電消え行けり

氏素性無きを喚けり蝦蟇蛙
海に日の落ちて頻りや蝦蟇蛙
海に日の落ちて騒がし蝦蟇蛙
駆け出して転んで起きて子供の日
早苗田の一枚一枚富士映す

吊り橋の大きく揺れる立夏かな
旅心湧き出て止まぬ端居かな
いっときは時忘れたる端居かな。
気がつけば爪切っている薄暑かな
道標の文字掠れやみちおしえ

まいまいのくるりくるりと八十路来る
旅果てて想い出手繰る芋焼酎
老鶯や貴船神社の水占い
妻の背の丸くなりたる端居かな
母の背に乗りし記憶や芋焼酎

母の背の温き記憶や芋焼酎
バラの香の中を双子のベビーカー
訃報来る突如乱れる蟻の列
焼酎の銘柄選ぶ薄暑かな
扇置く怒り鎮める為に置く

飛ぶ如く尼僧の如く蟻の列
眼鏡拭く指先白し梅雨の冷え
老骨を奥湯河原で暑気払い
幾度ぞこれが最後と暑気払い
次々に話題が飛んで暑気払い

梅雨寒やごしごしごしと眼鏡拭く
水打って三途の川を確かめる
気が付けば月に斑雲月見草
鮎釣りのその身支度の物々し
一風が飛天の如し今年竹

ふと頬を過る一風今年竹
暑気払い話題は三途の川の事
飛ぶ如く惑える如く蟻の列
花空木話せば判る事なのに
羅をきらりと纏う女将かな

誰にでも母の有りけり法師蝉
誰にでも母の有りけり太宰の忌
空と海分けて大島今朝の秋
鎌倉に踏み切り多し晩夏光
行き過ぎる少女に夏の匂いかな

柿若葉誰にでも有る反抗期
ツケの利く居酒屋減りて冷奴
遂に聞かぬ父の本音や夕端居


2016
立葵どこか母似の佇まい
富士からの水青々と代田掻く
葱坊主頷き合いて居る如し
タンポポの絮ふくらんで風を待つ
なんとまあ大きな口や燕の子 

川沿いを海まで歩き風薫る
川沿いを海まで歩き春惜しむ
蟻の列時にはみだす二三匹

笑顔居て泣き面も居て桜桃忌
人の名をまた忘れたる蛍の夜
囀りと瀬音の遠く近くかな
夏座敷はなし途切れて風動く
老鶯や文字の掠れし道しるべ   
梅雨晴れの海に海色戻りけり 

犬が舌だらりと垂らす暑さかな               
老鶯の一丁ほどを鳴き止まず                 
弧を描く鳶の番や梅雨明ける                 
大盛りの白いご飯や雲の峰         
公園に子と犬走る梅雨晴間                     

鎌倉や紫陽花映るにはたずみ
土用入ともかく旨い米を買う
ハマナスの花言葉や一期一会

弧を描く鳶の番や梅雨明ける
公園に子と犬走る今日の秋
大盛りの白いご飯や敗戦忌


2015
大の字で二度寝むさぼる晩夏かな
山の匂い川の匂いや夏料理
よく動く女医先生の素足かな
何時迄も無芸大食トコロテン
土壁の高さを超えて百日紅

浅草の梅雨を駈け抜く人力車      
梅雨寒や釦の一つ取れしまま      
水打って路地に街騒戻りけり      
半夏生朝一番の風入れる        
紫陽花の奥よりショパン流れ来し 

俎板に鱗張り付く立夏かな      
畳屋は街に一軒明け易し       
落日を海に収めて梅雨に入る     
すっと出ぬ挨拶言葉木下闇      
雲縫いて光の束や梅雨晴間      

逝く春や誰も彼もにある故郷     
今着きし封書を開く薄暑かな     
残りたる時間に限り日脚のぶ     
昼間から開く居酒屋街薄暑      
アルバムに故人の多し春惜しむ    


2014
猫が鳥くわえて来たり桜桃忌
向日葵のカサカサ空を焦がしけり
向日葵や萎れて人の方を向く
向日葵や益々つのる神頼み
外人に道問われたる薄暑かな
薄情と妻に言われて桜桃忌
のめり込むことも無くなり桜桃忌

妻語り夫頷く桜桃忌        
短夜や天気予報のあと時報     
葉桜や強羅一番坂二番坂      
空梅雨やピカソの青の時が好き   
十薬や不器用なれど恙無し

十薬や生きてこの方持病なし      
みちおしえまだ定まらぬ我が行方    
なんとまあ大きな口や燕の子      
折り合いのまだ付かぬまま梅雨に入る  
耳鳴りの途絶えぬ日なり半夏生     

半夏生己が毒気を払わねば     
憲法のことはさておき昼寝さむ   
風鈴の一つ動けば皆動く      
安曇野の地蔵に添いて捩り花    
繰り言も愚痴も途絶えて百日紅   

その昔手紙燃やせし晩夏かな    
一山の深きを鳴けり油蝉      
七夕や人生まれ来て人を恋ふ    
踊りの輪縮んで伸びてまた縮む   
まだ少し余韻を残し祭果つ
     

2013

娘二人音沙汰鈍き端午かな      

襟足の白の眩しき更衣         

母の日となるといつでも畏まる     

出し抜けに苦手の人に逢ひ薄暑     

古茶新茶些事に拘る性抜けず  



2012
二粒が佳し安曇野のサクランボ 
  
蛍舞ふ二匹三匹まで数ふ      
鏡みて父に似て来し暑さかな    
行く先は故郷なりや蝸牛      
神宿しいるかも知れぬ蝸牛     
終電の人影薄き晩夏かな

耳掻いてなおまだ痒き晩夏かな
忘れ物確かめている晩夏かな
みんみんや何時もの言葉出て来ない
懐の乾きさながら晩夏かな
爽やかや墓など要らぬと言い放つ

坊さんも列に加わる踊りかな
釣り人の釣れたるを見ぬ秋の暮
古酒交し絆益々深まりぬ
塩少し振って枝豆茹で上がる
口数の少なき人と古酒交す


2011年
御神籤は紺色と出て濃紫陽花   
青竹や我より先に逝きし人   
アジサイや母奔放を全うす   
行く先は紫陽花の咲くあのあたり   
伊豆下田五月雨れているばかりなり   

二つぶが佳し安曇野のサクランボ
蛍舞ふ二匹三匹まで数ふ      
鏡みて父に似て来し暑さかな    
行く先は故郷なりや蝸牛      
神宿しいるかも知れぬ蝸牛     

葱坊主おのれの丈を知りにけり   

鎌倉の牡丹とりわけ静かなり    
江ノ電の駅も路線も若葉かな    
ゆったりと言の葉つなぎ若楓     
駆けてきて駆けて行きけり五月の子



2010年
衣替え少女女になりにけり
買って出るお膳奉行や暑気払い
大女将膝を正して夏座敷
大女将膝を崩して夏座敷

紫陽花や手鞠の中に秘めしこと
向日葵や少年突如宙返り
待ち人のまだ現われぬ薄暑かな   
真ん中に子を吊り初夏の若夫婦   
スルリスルリ変わる話題や若葉風



2009年
手土産の色紐解けば梅雨明ける
懐かしき人に逢ひけり星祭
梅雨明や海に戻りし海の色
床の間に良寛を下げ半夏生
紫陽花の奥よりショパン流れ来し

遠吠えの頻りに続く昭和の日
囀りと瀬音の遠く近くかな
鈍行が止まれば若葉風そよぐ
近付けば近寄ってくる目高かな
夕焼やゆびきりげんまンしてバィバィ


2008年
モジリアニ観て朧夜に紛れけり
暮れなずむ虚空に垂るる鯉のぼり
電話魔の電話来る頃日の永し
遠景は爺と婆組む茶摘かな

たなごころ眺めていたる遅日かな
紫陽花や別れる為に人恋す
二度までも目覚めうつろや明け易し
母と梅叩き落しし日を想う
黒南風は大海原を集めけり

半夏生お膳奉行を買って出る
むらさきの短冊もあり七夕竹
老鶯や閉ざれしままの長屋門
鎌倉の水色深し梅雨深し
空蝉をつまんで募る慈悲心

2007年
歯医者出て念力ゆるむ炎暑かな  
老鶯や安土小谷に城は無し    
梅雨明や野良猫仔猫連れで来る  
炎天を蟲好かぬ奴やって来る   
水打てばつと紅顔の郵便夫 

茶の畝の一徹までの静かかな
廃嫡をして幾歳や蝦蟇蛙     
逝く春ややや右向いて眠る癖   
新樹新樹どこもかしこも新樹新樹 
開宴の挨拶長き薄暑かな      
たっぷりと墨濃くしたる夏書かな 


2006年
楚々と来てクルクル回る日傘かな 
甚平を着れば男に戻りけり    
このあたり古墳の跡や梅雨深々  
端居してもの見えぬもの見ていたり

水打って向う三軒両隣      
十薬やこのごろ嵩む負けの数   
蚕豆を食めば漂う母の味     
太宰忌や晩年過ごす家捜す      
病状は如何と問ひて夏帽子
      
一族の途絶えしあたり蛍舞う    
一窓は富士一窓は柿若葉
竹売りの次は砥ぎ屋や傘雨の忌
諍いのほつれぬままに更衣
あちこちへハミングこぼし青き踏む

2005年
思い切り薄墨にして半夏生
貧相も人相のうち半夏生
鷲掴みしてみたくなり雲の峰
梅雨深し寡黙の男なお寡黙
咲き際も散り際もよき牡丹かな

叔母が来て叔父の事など若葉風
紅花の咲く頃人と別れけり
奥陸奥の風に従う植田かな
奥陸奥の懐深き青田かな
圧巻は焼筍や旅果てる

奥陸奥の青葉殊更青きかな
人呼んでいたるが如き河鹿かな
飲み疲れ語り疲れて河鹿かな
陸奥新緑ますます判官びいきなり
我が家には跡取り居るぞ鯉幟

薫風やコトコトコトと万歩計
惜春や電話にコイン落ちる音
橋渡るとき遠足の列縮む
行く春や源氏絵巻は玻璃の中
我が影の薄さを踏んで春惜しむ



2004年

夏料理京には京の流儀あり
夕焼けも小焼けもありし縁かな
いっときは天下取りたり三尺寝
香水の漂う人を振り返る

風鈴の一つが鳴れば全部鳴る
垣根よりぬっと入りたる裸かな
空言の底は些細や水中花
ところてん薮から棒に本題ぞ
夏座敷はなし途切れて風動く

眦を裂いて西日に向かいけり
葛餅の黄粉にややの塩加減
諍いも中途半端や心太
尺蠖は八方睨み一歩出る
心病む人と座したる暑さかな

妻語り夫頷く桜桃忌
夏簾上げて碁敵侵入す
正直に馬鹿が付きけり蝸牛
巣立ちした後は雨風吹くばかり
その後の便りは途絶え梅雨に入る

入梅の後も先にも飯を食う
足摺も室戸も霞む遍路かな
尺獲や平均年齢伸び止まず
衣更えて行き先告げず旅に出る
鎌倉の尼僧小走る薄暑かな 

浅草の路地にて迷う傘雨の忌 
見上げたる孫の背丈や柏餅 
読みさしの本積み上がる薄暑かな 
ほろ甘きあとほろ苦き新茶かな 
読みさしの本溜まりたる薄暑かな

日一日鳥の巣を観るつつがかな
老舗閉じ行き交う人は衣更
母の日の母の軽さを偲びけり
燃え出ずる青葉若葉や古戦場
真実は一つなりけり桐の花

2003年

老鶯や文字の掠れし道しるべ   
梅雨晴れの海に海色戻りけり   
世事疎き身にも世事あり昼寝覚む 
水打って成さねばならぬ事も無し 
居住まいの父に似てくる端居かな 

罌粟坊主むかし毒舌なりしかな  
ひゃっくりの止まらぬままに梅雨に入る  
尺獲や年金暮らし恙無し        

すっと出ぬ挨拶言葉蟻の列        
衣更えて他人の顔になりにけり
鞦韆の空に近づくとき跳ねる
母の日やカーネーションを抱く茶髪
てにをはの一つ拘る立夏かな

2002年以前

父の日の事には触れず電話来る
十薬やしかと身に付く怠け癖
へぼ将棋一進一退明け易し
葉桜や今日二つ目の忘れ物
熱帯魚ひらりと見せる腹の底

植木屋が天に物言う立夏かな
釣銭の一つをこぼす炎暑かな
キャンプ場の匂いいっぱい持ち帰る
炎天や髭ぼうぼうの男くる
蟻の列昔百姓一葵あり

母の味する空豆の届きけり
のめりこむことも無くなり桜桃忌
大西日赤信号の続きおり
青柿や丹波笹山丹波焼
青梅雨や銭出して買う猫の餌

水打ちし格好のまま遠会釈
打ち水や男盛りをやや過ぎて
竹落ち葉かさりと人の匂いする
竹落葉耳掻棒の見つからず
竹落葉悲しきことは母の老い

田草取る男とりわけ静かなり
懐かしき顔の会いけり葱坊主
母の日や一日植木の手入れする
エンパイヤーステイトビル霧霧霧
ニューヨークの夕焼さびし過ぎるかな

葉桜やつくづく白きなまこ壁
尺獲りや諍いもなし財もなし
穀象を真中に置きて世界地図
十薬や器を知りて恙なし




inserted by FC2 system